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2008 10,23 21:43 |
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相互させて頂いている、【現実を拒絶した夢の中】様から、
15万HIT突破企画の朝ルルフリー小説を頂いておりました。 連作の3話目です。 UPが遅くなってしまって誠に申し訳ありません…! 3.貴方を待つ日 注意: ※朝比奈さんショタコン気味は仕様です。 ※仔ルルは素直で可愛いです。 ※スザは悪ガキです。 ※長編朝ルルはお読みになりましたか?読んでなくても読めると思いますが、読んでからだとよりわかりやすいと思いますよ??? 以上、大丈夫!!な方は↓へスクロール!!! 夏、真っ盛り。比較的涼しいブリタニアと違い、多湿の日本での夏は、体力のないルルーシュには、少々厳しかった。しかも、住んでいる場所が、土蔵、である。風通しが悪いこの土蔵で、暑さをしのげるわけもなく・・・。現在、枢木スザクによって、涼しい場所とやらに拉致られている。 というわけで、朝比奈はナナリーと2人きりで、土蔵の中でお留守番中である。 「あっつ~・・・何これ。よく我慢してるね。」 朝比奈が、パタパタとワイシャツの第2ボタンまでを開いて煽る。 「・・・でも、外よりは・・・ひんやりしてますから。」 苦笑するナナリー。すっかり朝比奈が一緒にいることに慣れてしまい、ルルーシュと同等とまではいかないが、心を開いてくれるようになった。 ルルーシュも、ナナリーも互いが一番大切で。異常なほどに依存し合っている2人だが、事情を聞いた朝比奈にしてみれば、当然と思える。 先日、ぽつりぽつりと事情を話してくれたルルーシュの様子を見ていれば、本人に自覚は無くとも、精神的に参っていることは確かだ。だから、大人が守らなければならないところもあるだろうに、父親はああで、今、周りにいる大人達は、こぞってルルーシュを利用しようとしている。 「まったくさ~。どいつもこいつも・・・。」 ぼそ、と呟いた朝比奈に、ナナリーが首を傾げる。 「どうかなさったんですか?省吾さん。」 「あ、ううん、何でもない。ちょっと、大人げない人達を思い出してただけ。」 にへ、と笑い、ナナリーの手を握る。こうすれば、ナナリーが安心するのだとルルーシュが言っていた。 「省吾さんの手は温かいですね。」 「・・・ルルーシュ君もそんなこと言ってたなぁ。」 「そうなんですか?・・・あの、省吾さん・・・。」 ことりと首を傾げたナナリーに、朝比奈も首を傾げる。 「ん?何?」 「・・・あの・・・お兄様のこと、どう思ってらっしゃるんですか?」 「へぁっ!?」 思わず素っ頓狂な声が出た。慌てて口を塞ぐが、ナナリーはクツクツと笑っている。 「・・・お兄様は、省吾さんにすごく気を許してると思うんです。私達の事情を全部話すなんて。・・・スザクさんにも言ってないこともあるのに・・・。」 「そうなの?」 「はい。・・・でも、お兄様の気持ちもわかるかも。省吾さんって、とっても真面目な方だから、信頼できるんです。」 「・・・ん~頭が固いって言われることはあるけど、そんなふうに言われたことなかったよ。」 はは、と笑い、朝比奈は頭を掻く。それを聞いて、ナナリーは自分の手を握る朝比奈の手にもう片方の手を乗せる。 「省吾さん・・・戦争が始まっても、私達を嫌いにならないでくださいね?」 「当たり前じゃない!!戦争が始まることとルルーシュ君やナナリーちゃんは無関係だよ。」 そうハッキリと言った朝比奈に、ナナリーはとろけるような笑みをうかべた。 「ありがとうございます。・・・私、こうして手を握っていると、その人が嘘をついているか、何となくわかっちゃうんです。・・・今、省吾さんは、本心からそう言ってくれましたね。」 ナナリーの言葉に、朝比奈は一瞬目を瞠るが、すぐにナナリーの手をぎゅっと握る。 「うん。本心だよ。ほらほら、もっと俺を理解して~~♪」 「きゃぁ、あはははっ。」 じゃれつくようにナナリーの手を握ったまま頭を撫でると、ナナリーも嬉しそうに笑い声をあげた。 ルルーシュがスザクと共に土蔵に帰ってくると、朝比奈とナナリーの楽しそうな笑い声が聞こえてきた。 「・・・ナナリーが声をあげて笑うなんて・・・。」 呆然と呟くルルーシュに、スザクは首を傾げる。 「え?」 「・・・あんなナナリーの笑い声、久しぶりに聞いた。」 フッと笑み、ルルーシュは土蔵の中に入っていく。 「あ、おい、待てって、ルルーシュ。」 慌ててスザクも土蔵に中に入る。 「・・・ただいま。ナナリー、省吾さん。」 「・・・・・・ただいま。」 「あ、おっかえり~v」 「お帰りなさい。お兄様、スザクさん。」 笑顔で出迎える、ナナリーと朝比奈に笑みを向けつつ、ルルーシュは手に持っていた袋を示す。 「ほら、涼しくなるものを分けてもらってきたよ。」 見れば、スザクもルルーシュより大きな袋を持っている。 「・・・何だろ~?」 朝比奈がルルーシュの持つ袋を覗き込み、そして、ああ、と破顔する。 「氷室に連れてったんだ?」 ちらり、とスザクに視線をやれば、むっつりと頷く。どうやら、すっかりルルーシュ達と仲良くなってしまった朝比奈が面白くないらしい。 「ナナリー、冷たいよ?」 ルルーシュは袋から氷の欠片を取り出すと、ナナリーの手にそっと落とす。 「ひゃんっ!・・・冷たいっ。」 ナナリーはパッと手を払って氷を落としてしまう。 「・・・あっ、ご、ごめんなさい!お兄様。」 「ううん。良いんだよ。・・・これを置いておけば、土蔵も少しは涼しくなるかなって思って。分けてもらったんだ。」 ルルーシュはニコリと笑い、ナナリーの手を握る。 「・・・そう、なんですか。」 ルルーシュの手が触れたことで、安心したのか、ナナリーの表情が和らぐ。 「・・・ねぇ、ルルーシュ君。お塩、ある?」 突如、朝比奈がそんなことを言い出したので、ルルーシュもナナリーもスザクもきょとん、とする。 「・・・ありますけど・・・。」 「なんに使うんだよ、そんなの。」 ルルーシュが首を傾げ、スザクは横柄に訊ねてくる。 「ふっふっふっ・・・ま、見てなさ~い。」 朝比奈は自信たっぷりに笑いながら、たらいを奥から引っ張り出す。(荷物移動をしたのが朝比奈なので、何がどこにあるか熟知していたりする。) 「氷をこの中に入れて。」 朝比奈の言う通りに、ルルーシュとスザクが氷室から貰って来た氷をたらいに移す。 「で、この塩を入れて・・・。」 ガラガラとかき混ぜて、氷に塩がまんべんなく混ざる。朝比奈はそのまましばらく置いておくように告げた。ルルーシュとスザクは興味深そうにたらいを見つめ、ナナリーも何が起こるのかと期待をしているようで、頬をうっすらと紅潮させている。 「よし、そろそろ良いかな。」 朝比奈はそう言って、そっとたらいの中の氷に触れる。 「・・・うん。いい感じ。触ってごらん?」 言われるままにルルーシュとスザクはたらいに手を伸ばし、氷に触れた瞬間、仰天する。 「っっ!?」 「冷てぇ!!・・・氷室で触った時より冷たいぞ!?」 慌てて手を引っ込めた2人はそれぞれに反応し、スザクが興味津々といった様子で訊ねてくる。朝比奈にしてみれば、ルルーシュに訊ねられるならともかく、スザクにまで答える義務はないのだが、ルルーシュ達も知りたそうにしているので、答えることにする。 「氷に塩を振りかけると、その周りが解けるんだよ。氷は溶ける時に熱を奪うから、氷の温度が下がって、こうやって普通にしている時より冷たくなるの。わかった?・・・ようは打ち水の原理と一緒なんだけど・・・。」 子ども達が固まっているのを見て、朝比奈は苦笑する。 「ごめん、難しかったよね?」 「・・・ああ、いえ。原理はわかったんですけど・・・へぇ、氷と塩ってそういう反応を起こすのか。・・・僕、機械科学は得意ですけど、理化学は範疇外だったから・・・。」 ブツブツと呟くルルーシュに、朝比奈は舌を巻いた。機械科学だの理化学だの、小難しい単語が齢10歳の子どもの口から出るとは思ってもいなかったのだ。 逆に、ポカンとしてしまっているスザクやナナリーの方が、当たり前の反応とも言える。 「あは、すっごいねぇ、ルルーシュ君。」 「・・・ブリタニアの機関で、そういうところがあるんです。僕もナナリーもそこには母に連れられて何度も行っていて・・・。」 ルルーシュが楽しそうに朝比奈に説明しているのを見て、我にかえったスザクがムッとする。 「・・・なぁ!ルルーシュ。機械科学って、どんなことやるんだよ。」 割り込んできたスザクに、朝比奈は牽制の意味を込めてきつい視線を送るが、ルルーシュはそれに気づいた様子も無くきょとんとした。 「・・・え?・・・えーと・・・ナイトメア・フレームの研究。」 「「ナイトメア・フレーム?」」 朝比奈とスザクの声がハモる。互いにムッとして、睨みあうが、すぐにルルーシュに視線を移す。 「「それって、ナニ?」」 またもハモる。また、睨みあう2人。それを見て、ルルーシュは首を傾げる。 「・・・スザクと省吾さんって仲良いですね。」 「「はぁっ!?」」 とんでもない勘違いをしてくれるルルーシュに、朝比奈とスザクは素っ頓狂な声をあげる。 「・・・ほら、また、声が揃った。」 少し淋しそうな表情で言うルルーシュに、朝比奈は慌てて弁明を始める。 「ち、違うよ!ルルーシュ君。・・・た、たまたまだよ、ほんと、偶然!!」 「そうだ!・・・誰がこんな奴と・・・。」 「それは、こっちのセリフーーーー。」 ケンカ腰で睨みあう2人に、今度はルルーシュが慌てる。 「け、ケンカは止めてください。」 止めるルルーシュの声に、朝比奈とスザクは睨みあうのをやめて、互いにフイっ、と顔をそむけた。 「・・・もう。・・・それで・・・ナイトメア、ですよね。」 ルルーシュは嘆息しつつも確認する。 「・・・お兄様・・・よろしいんですか?」 ナナリーが不安そうに言う。幼いながらも、母が関わっていたあの研究は国の最重要項目であったことは理解していた。それを、他所の国の人間に話して良いのか、と思ったのだ。 「・・・良いんだよ、ナナリー。もう、枢木首相や桐原公には話してあることだから。」 そして、ルルーシュは人型自在戦闘装甲騎ナイトメア・フレームの説明をする。専門的な言葉を使っても理解できないとわかっているのか、随分と端折った内容ではあったが。 「・・・つまり、サクラダイトを使っていて、いろいろと小回りの利く人の形をした戦闘機って考えれば良いのかな?」 朝比奈が訊ねれば、ルルーシュはこくりと頷く。 「そうです。・・・そのうち実戦投入もされると思いますよ。」 「・・・なるほど。」 朝比奈の表情が真剣なものに変わる。それを見て、改めて朝比奈は軍人なのだと思い知ったルルーシュは、うっすらと微笑みをうかべながらも、そのアメジストの瞳を揺らしていた。 その日、朝比奈は急に藤堂の使いという人間に連れて行かれ、それから2日。あれほど、日参していたというのに、一度も顔を出さなくなった。 「・・・なぁ、スザク。省吾さんのこと、何か聞いてないか?」 「・・・さぁ?藤堂師匠も忙しそうなんだよな。道場にも来てないみたいだし。」 「藤堂さんも・・・?・・・まさか、戦争が始まるとか・・・。」 ルルーシュが言えば、スザクが笑い飛ばす。 「ははっ、あるわけないって。だって、ルルーシュ達がここにいるんだぜ?」 スザクは知らないのか、とルルーシュは思う。もちろん、自分達から話すことでもないと思っているので、説明をしたりはしないが。 「(省吾さんには、話してしまったのに・・・どうして、スザクには・・・。)」 ルルーシュはうつむいて、黙り込む。 「ルルーシュ。・・・そんなにあいつのこと気になんのか?」 スザクの声が心配そうなものに変わる。 「・・・いや、僕は別に・・・。」 「・・・そうか。」 首を振るルルーシュだが、目に見えて落ち込んでいるその様子に、スザクは困ったように眉根を寄せた。 さらに2日。一度も顔を出さない朝比奈に、ルルーシュは溜め息をつく回数が増えていた。 「お兄様・・・どうかなさったんですか?」 「・・・いや。何でもないよ?」 にこり、と笑うが、その表情もすぐに曇ってしまう。目の見えないナナリーにもその気配は良く感じられて。原因が朝比奈が来ないことにあると気付いていたナナリーは、ぽつりと呟く。 「・・・省吾さん、いらっしゃいませんね。」 「・・・・・・うん。」 ルルーシュは短く応じ、空を見上げる。抜けるような青空が、いっそ恨めしい。 「省吾さん・・・。」 意識せず、ルルーシュは朝比奈の名を呟いていた。 PR |
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